とろみの調整で活躍する「粘度計」

粘度計とはどういうものか、名前の通り物質の粘度を測定する計測器のことです。
流体がサラサラであったりドロドロであったり、ネバネバしているというのは見た目で判断することができますが、例えば同じネバネバであっても更にどれぐらいの違いがあるのかを測るのには粘度計が活用できます。
特に嚥下機能の衰えてきている高齢者の方に食時を提供する場合などには粘度計を用いてとろみ具合を確認するのも誤嚥を防ぐ有効な手段と言えるでしょう。

食べ物のとろみの強さも研究されている!

食べ物のとろみについては学会などでも研究されています。
とろみの段階は5段階に分けられており、咀嚼能力によって適した具合の研究がされて発表されています。
なぜそのように分ける必要があるかというと、咀嚼能力がある程度あるけれど嚥下ができない場合、咀嚼能力は低いけれど嚥下ができる場合など様々で、その人にあったとろみで提供しなければせっかく維持できている力が衰えてしまいかねません。
ゼリーなども口の中に入れたときに溶け出す温度などが違うことも重要です。
また食べ物だけではなく飲み物でも研究が進んでいます。
飲み物のとろみ具合は3段階に分けられ、口の中に入れたときにとろみがついているかついていないかぐらいでストローで吸う場合に抵抗を感じない状態、口の中入れたときにゆっくりと広がっていきストローで吸うには少し抵抗がある状態、まとまりが良くストローで吸うことは困難でスプーンで食べるという表現の方が適した状態となっています。

間違って肺に入るのを防ぐために重要

高齢者に多い誤嚥性肺炎というものがあります。
誤嚥とは食べ物が誤って気管にはいってしまうことで、誤嚥性肺炎とは普通であれば肺に入らない食べ物や飲み物が間違って肺に入ってしまうことによって肺炎を引き起こすものです。
普通であればむせるという行為で肺に入ってしまったものを出そうとするのですが、高齢者の場合は肺に入ったことすら気づかずに急な高熱や肺炎など症状が悪化してしまうのです。
そのような誤嚥を防ぐために、食べ物や飲み物にとろみをつけることが必要になってきます。
しかし、その人にあった状態にしてあげないと逆に危険なものになってしまうことがあります。
とろみを強くしすぎてしまうと喉元に残ったものが嚥下の後に気道に入ってしまう場合があります。
介護施設などでは通常は嚥下テストで判断することが多いのですが、病院や介護施設といった現場で粘度計を使って度合いを測ることでその人に適したとろみをつけることができます。